ネタバレ無し|小説『絞首商會』感想レビュー

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『絞首商會』は、2019年に「絞首商会の後継人」のタイトルでメフィスト賞を受賞した夕木春央さんのデビュー作です。
大正時代の東京を舞台に、秘密結社や不可解な殺人事件が絡み合う物語が展開されます。

夕木春央の筆力を存分に感じられる本作の魅力を、ネタバレ無しでご紹介します。

ご注意:
この記事には出版社のサイトや販売ページに掲載されている書籍情報、簡単なあらすじや登場人物、構成、テーマについての情報を含んでいます。ネタバレ無しですが、これらの情報が読書体験に影響を与える可能性がありますので、完全な初見で作品を楽しみたい方はご注意ください。

『絞首商會』作品概要

タイトル 絞首商會
著者 夕木春央
出版社 講談社 講談社文庫
発行 初版:2019年09月 文庫:2023年01月
ページ数 448ページ
推定読書時間 7.0時間~10.4時間

『絞首商會』のあらすじ

昭和・平成のミステリの技法をフル装備し、
乱歩デビュー前の大正時代半ばに転生して本格探偵小説を書いたら……。
そんな夢想が現実のものになったかのような極上の逸品。
この作者は、令和のミステリを支える
太い柱の一つになるだろう。
有栖川有栖

分厚い世界に緻密なロジック、第60回メフィスト賞受賞作

謎が謎を呼ぶ怪死事件。元泥棒が導く真相に瞠目せよ。

和洋入り交じる大正の東京。
秘密結社「絞首商會」との関わりが囁かれる
血液学研究の大家・村上博士が刺殺された。
不可解な点は3つ。遺体が移動させられていたこと、
鞄の内側がべっとり血に濡れていたこと、そして、
遺族が解決を依頼したのが以前村上邸に盗みに入った元泥棒だったこと――。
頭脳明晰にして見目麗しく、厭世家の元泥棒・蓮野が見つけた
四人の容疑者の共通点は、“事件解決に熱心過ぎる”ことだった――。

講談社BOOK倶楽部

メフィスト賞が生んだ名作たち

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メフィスト賞は、講談社が発行する文芸雑誌『メフィスト』から生まれた公募文学新人賞です。
この賞の対象作は「エンターテイメントなら何でも」「面白ければ何でもあり」という広範な基準で選ばれます。

編集者が惚れ込んだ作品が受賞するため、他の文学賞では見られないような個性豊かな作品が多いのが特徴です。

メフィスト賞はミステリーに限らず、様々なジャンルの作品が対象となりますが、その独特な選考基準から、チャレンジングなミステリーベースの作品が多く受賞しています。

第一回受賞作の森博嗣『すべてがFになる』や、殊能将之『ハサミ男』など、現在でも名を馳せる作品が数多くあります。

この賞は、ミステリー愛好家の中でも気に入っている人は多く、「メフィスト味」「メフィストっぽい」というような独特のテイストを感じられる読者もいるようです。
一般的な文学賞と比較してより癖の強い作品が多く、印象に残るのもわかります。

若干ネタっぽくなりましたが、正統派の作品も多く受賞しており、『絞首商會』もどちらかと言えばその一例かなと思います。

受賞後は書籍化が確約されており、編集者が持ち込まれた原稿を読み、気に入れば受賞・出版されるというシステムになっています。

メフィスト賞はユニークな作品を世に送り出し、新たな才能を発掘するのに一役も二役も買っている、そんな賞です。

『絞首商會』の読者口コミ総評

小説『絞首商會』の総合評価は比較的高く、多くの読者から支持されています。
特に評価が高かったのは、物語の展開や大正時代の雰囲気を巧みに描写した文章力です。

多くの読者が作品に引き込まれ、一気に読み進めたと評価しています。
特定のキャラクターの語りが感動的で心を打ったという意見も見られました。

一方で、古めかしい文章や登場人物の多さ、視点の切り替えにより読みにくさを感じたという声も少なくありませんでした。

総じて、『絞首商會』は独特の雰囲気と巧みな文章力で多くの読者を魅了する一方で、複雑な構成や古風な文体が一部の読者にとってはハードルとなる作品と言えます。

文章力が高く、情報が巧みに配置されていて読みやすかった。
一気に読ませる展開で比喩表現が美しく、世界観に引き込まれた。
ミステリとしての真相と推理過程が面白く、読後感も良かった。
大正時代の雰囲気が感じられる会話が物語に深みを与えていた。

時代設定のせいか文章が古めかしくて読みにくかった。
会話が多すぎて冗長に感じ、読み進めるのが辛かった。
最後の展開は驚きがあったが、それまでの進行が遅かった。
物語が複雑で、途中で何度も話がわからなくなった。

『絞首商會』感想まとめ

『絞首商會』は時代設定が約100年前の大正時代ということもあり、現代ではあまり見慣れない言葉や漢字が多く使われています。
文章自体も比較的硬めで、口コミでも指摘されているように、入り込むまでに時間がかかるという感想には同意です。

全体の分量もやや多めで、読むペースが上がらず途中で少し苦戦することもあるかもしれません。

関連して、『絞首商會』に限らず、小説では時期を表わすのに元号を使うことも多いです。
平成昭和ならまだいいのですが、大正や明治は切り替わりもあって、時期を即座にイメージしにくいというのはありますね。

年月日は物語内の出来事を把握したりイメージしたりするのに結構重要だったりするので、読むのが遅くなった要因の一つではありました。
学がある方にはあまり影響はないかもしれないです。

『絞首商會』の魅力の一つは、犯人というよりも容疑者たちの振る舞いや動機に意外性がある点です。
各エピソードは時代背景を活かして巧みに描かれていて、事件の不可解な点も合わせ、伏線としてしっかり回収されていくのは見事でした。

真相が明かされるまで、私は全く予想がつきませんでした。

確かに言葉遣いや文体には多少クセがありますが、それを乗り越えると物語自体は十分に面白いものだと思います。
時代背景や設定が丁寧に描かれており、ミステリとしての完成度も高いです。

<特におすすめしたい方>
歴史的な背景に興味がある方
複雑なストーリーが好きな方
文学的な作品を好む方

筆者の夕木春央さんは、『方舟』で広く知られるようになりましたが、『絞首商會』はそのデビュー作として触れてみる価値はあります。

『絞首商會』 – ネタバレ解説考察記事

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