小説『マツリカ・マジョルカ』登場人物と秘密のネタバレ解説

matsurika_majolka_withspoilers 小説 – ネタバレ解説考察

『マツリカ・マジョルカ』。読み終えました。
いくつかのエピソードを経て、最後に明かされる事実に驚いた人も多いんじゃないでしょうか。

この記事では、不思議な魅力を持つキャラクターたちが織りなす、ひとつひとつの物語を振り返ります。
謎の原始人から始まり、深い悲しみを抱える登場人物まで、物語の理解を深めたい方は是非どうぞ。

ご注意:
この記事は作品の詳細な内容を含んでおり、重要なプロットのポイントや物語の結末について言及しています。未読の方はくれぐれもご注意ください。

『マツリカ・マジョルカ』登場人物

  • 柴山 祐希 (しばやま ゆうき)
    1. 一年C組。高校生。友達がおらず、知らない人に話しかけることが苦手で目立たない存在。
      地元の友達から「シスコン」とからかわれるほど姉と仲が良い。
      中学時代には半年間自宅に閉じこもっていた期間があり、高校に進学してからもクラスに馴染むことができていない。

  • マツリカ
    1. 雑居ビルに住むという魔女のような変人。
      背が高く長く真っ直ぐな黒髪と切れ長の瞳が特徴で、いつも制服姿にもかかわらず、学校には通っていない様子。
      柴山を「おまえ」「柴犬」などと呼び、ドSな態度でこき使う。
      甘いものとトマトジュースを好み、骨董品集めが趣味。
      その存在は多くの謎に包まれている。

  • 小西 ナホ (こにし なほ)
    1. 柴山祐希のクラスメイトで写真部に所属する、ボーイッシュな外見が特徴の活発な女子。
      視力が悪く人を睨むような目つきをしているが、装い次第で一目惚れするほどに化ける。

『マツリカ・マジョルカ』ネタバレあらすじ

原始人ランナウェイ:過去を告発するカサブランカの花束

柴山祐希は放課後、雑居ビルから身を乗り出して双眼鏡で何かを探しているマツリカに遭遇。
マツリカは原始人を探しており、柴山にその監視と報告を依頼する。
原始人とは、夕方に旧校舎の裏で現れ、校庭を全力疾走するという笑い話のような怪談だった。
柴山は脅される形で依頼を受けることになる。

柴山はこの学校の卒業生らしい教育実習生の紺野先生に話を聞きに行く。
クラスメイトの小西ナホも、旧校舎の裏に落ちていたというカサブランカの花束を持って紺野先生の元に訪れていた。
花束は供物ではない模様。

原始人の噂は教育実習生の紺野先生が高校2年生の頃からからあり、多くの男子生徒が目撃していたが、女子生徒の間ではほとんど見た者がいなかった。

雑居ビルにて調査の報告。
長く学校に勤めている望月先生が知る限り、あの場所で亡くなった子なんていないという。
マツリカが言うには、観察していた限りでは花束は早朝7時半にはすでに旧校舎裏にから置いてあった。

マツリカは突如、原始人のことはもういいと言う。
原始人調査はもうしなくていいと言われ、マツリカとの関係が途切れてしまった柴山は、胸のどこかに空虚な穴を感じる。

最後に、柴山は原始人について更に調べるため、鶴岡先生に質問するが、ただの噂だろうと投げやりな反応をされる。

柴山はマツリカのいる廃墟の四階に向かった。
マツリカによれば、原始人は衣服を奪われた少年が取り返そうとして走る姿が学校に広まり、怪談話として定着した事件とのこと。
この噂は男子生徒によって広められ、男女分けされた体育の授業で女子生徒は目撃する機会がなかったため、男子にしか見ることができなかった。

さらに、マツリカは旧校舎裏に見つかったカサブランカの花束が告発の道具であったと推理。
この花束は紺野先生への誕生日プレゼントとして贈られたものだったが、紺野先生はそれを旧校舎裏に置くことで、過去の出来事に対する告発として利用した。
これは過去に起きた不公平な扱いや、教育者になろうとする者たちの罪悪感を問い直すものだった。

鶴岡先生は恐らくこの出来事に関与しており、直接の加害者だったのかもしれない。
紺野先生はある程度真相を知っていて、かつての原始人の子が自殺したという作り話を鶴岡に語って聞かせ、献花された場所を見せた。

紺野先生は原始人の事件に関わった過去の生徒たち、特に鶴岡先生に対して、その責任と罪悪感を思い出させるためにこのような行動を取った。
これは過去の行いに対する後悔や反省を促すと同時に、当時の被害者である「原始人」の受けた苦痛や悲しみをどのように償うかという問いかけも含まれている。

幽鬼的テレスコープ:夜の山に響く悲鳴の真相

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柴山はマツリカから旧校舎の外階段に現れるという「怪奇手すり女」の調査を依頼される。
この調査中、クラスメイトの小西「隻眼山探索オリエンテーション企画」という肝試しイベントに誘われる。

隻眼山は学校の裏にある小さな山で、そこには昔、男に襲われた女の子の幽霊が出るという怪談があった。
この女の子は抵抗中に片目をえぐられ、助けを求めても誰も来なかったため、結局は崖から身を投げてしまったとされていた。

マツリカに報告すると、マツリカは「興味ない」と一刀両断。

肝試しイベント当日、柴山は偶然にも小西とペアを組むことになる。
スタートとゴール地点は別で、雑木林の小道をL字に進みながら、チェックポイントで暗号を解いてお札を取ってくるというルール。

根岸という二年生は、彼が一方的に好意を寄せる秋和先輩とペアに。
秋和先輩は根岸の繰り返しのアプローチに困惑しており、根岸はその拒絶のサインを理解できずにいる。

柴山たちは途中で出会うの怪異たちに驚きつつもゴールにたどり着く。
ゴール後、奇妙な話が浮上する。

参加者たちの中に、予定されていた場所よりも一箇所多い、十一箇所で幽霊に遭遇した人がいた。
それは柴山たちも聞いた女の子の泣き声のようだが、運営側はそんな演出はしていないと否定。

さらに全員がゴールしたにも関わらず、集めるべきお札が一枚足りないという問題も。
そして、根岸は片眼の女の子の幽霊を見たという。

マツリカは、消えたのは一枚の札ではなく、一組の男女、すなわち正当な方法で終着点に辿り着かなかったペアがいたと推測。
根岸は秋和と二人きりになるため、共犯者による事前の札入手とルートの逸脱を計画し、秋和との会話の機会を増やそうとした。

しかし秋和を連れ出した際、根岸は精神的、あるいは肉体的に秋和を傷つけてしまった。
柴山たちが聞いた女の鳴き声は秋和のもの。

主催側の上級生や監視役は騒ぎになることを嫌い、この事態を隠蔽しようとし、全員が終着点に到着したという虚偽の報告をした。
秋和にとっても周りの人間に知られることは本意ではなかっただろう。
しかし、咄嗟の事態に伝達が行き渡らず、札の枚数の不一致が発生してしまった。

マツリカが推理を終えた後、柴山はテーブルの上の謎の物体を見る。
暗視スコープらしい。根岸が見たという片眼の女の子の幽霊とはまさか…。

いたずらディスガイズ:失われた衣装とアリスの秘密

文化祭の前日、マツリカから恐怖ゴキブリ男を捕まえるよう柴山祐希に指令が下される。
恐怖ゴキブリ男は、文化祭の夕暮れから夜にかけて現れ、講堂の壁に張り付きながら移動するらしい。

当日、柴山は講堂監視のため自分のクラスが運営するメイド喫茶に向かう。
そこで柴山は小西から、隣のクラス(D組)でアリスの衣装が失われたことを聞く。

D組は抽選で漏れたため、文化祭では演劇を行うことになっていた。
そのため、衣装や小道具を作るのに身が入らず、作業は大きく遅れていたらしい。

衣装は着替えスペースに置かれており、その場所に第三者の侵入、持ち出しは難しい状況。

十一時ごろ、アリス役を務めるユーコは衣装を着たままでは汚れる恐れがあるとして、一度制服に着替えたらしく、十二時ごろに衣装がなくなったことに気づいた。
失われた衣装の捜索に柴山も加わり、目撃情報を元に校庭の奥へと向かいます。

そこで柴山は小西を発見。小西はずれたコンタクトを外しているところだった。
小西曰く、ユーコは周囲の期待を一身に背負い込む性格で、冗談を真に受けやすく、面倒事を引き受けがちで、クラスに馴染めていない様子だったそう。
小西は文化祭での晴れ舞台を前にしてこのような嫌がらせを受けるユーコに同情する。

その後、柴山と小西はクラブハウスでアリスの衣装に似た服を着た女の子を発見する。
追いかけている途中、小西は服を講堂に届けるため離脱。

柴山はクラブハウスへ向かいながら牧田をコールした。
衣装の特徴を伝えると該当の衣装のようだ。
牧田は混乱気味に柴山に待機するよう言い、自分がクラブハウスに出向くという。

クラブハウスの扉を開けると、脱ぎ捨てられたアリスの衣装が見つかる。
やがて牧田も到着し、衣装は無事に届けられたようだ。

マツリカによれば、サチは最後にパーティションエリアを使ったのは小西だとは言ったが、十一時にユーコが着替えたとは言っていない。
さらにサチは十一時から十二時の間に、誰もそこを使っていないとも言っている。

つまり小西が着替えたのは十一時より前で、ユーコは自ら衣装を身に着けたまま姿を消したと推測し、十一時にユーコが着替えたという牧田の言葉は嘘だとした。
ユーコは舞台に立ちたくなく、あるいはクラスの公演自体を中止させたいと考え、逃げ出した可能性がある。

牧田はこの状況でも演劇を成功させたいと考え、ユーコの失踪を衣装探しという理由で取り繕った。
ユーコに戻ってくるよう説得を試みつつ、衣装だけでも取り戻そうとした。

柴山と小西がクラブハウスでみた女の子はユーコだった。
小西はコンタクトしていなかったため判別できなかったが、ユーコは小西に気づき逃げ出した。

牧田はクラブハウスにユーコの着替えを用意し、衣装を取りに行くつもりだったが、先に柴山と小西がユーコを発見してしまった。
そのため、柴山がユーコに接触しないよう制止。最終的にユーコは着替えて裏口から出て行ったのだろう。

D組は元々演劇に乗り気ではなかった。
ユーコはスケープゴートとして主役を押し付けられたことに最近になって気付いたのだろう。
みんなの期待を背負い、クラスに溶け込めると思っていた自分はただの代替品だった。
ユーコはそれを悟り、衣装を着て逃げ出したと考えられる。

さよならメランコリア – 姉の陰に隠された真実

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冬。柴山は写真部の先輩のアルバムを見ていて、マツリカの写真を発見。マツリカは三年生のようだ。

柴山は自宅の姉の部屋に高校の卒業アルバムがあることに気づく。
姉は写真を撮られることが嫌いで、机に飾られている写真もほとんど横顔。
姉のアルバムを見ると、個人写真が切り取られていた。

柴山はマツリカに会いに行き、大学はどこに行くのかと尋ねる。
マツリカはいくつか大学名を挙げた。

マツリカは柴山に面白い話を求め、謎解きの勝負を提案します。
勝負の内容は、柴山が話す謎をマツリカが解ければマツリカの勝ち、解けなければ柴山の勝ちというもの。
柴山が勝った場合、マツリカは柴山の言うことを何でも聞くと言う。

柴山は、姉のアルバムの件について話す。
マツリカは少し考えた後に、柴山に姉がいるのはどんな気分かと聞き、なぜか早々に降参宣言。
勝負は柴山の勝ち。
柴山はマツリカに触れ、自分を大切にし、つらいことがあれば話してほしいと頼む。

その後、マツリカは改めてアルバムの件を話し始める。
切り取られた姉の個人写真は遺影になったと冷たく告げた。

柴山の姉はトラックにはねられ、亡くなっていた。目撃証言から自殺とされたようだ。
写真嫌いな姉の写真はほとんどなく、卒業写真を急遽使うことになった。

姉の死の伏線

・繰り返し姉の携帯電話に発信
マツリカが最初に履歴は見たときは受信の方まで言及されていなかったですが、姉が学生であれ社会人であれ、いつも決まった時間に2回も発信しているのはいくらシスコンとはいえ不自然。
柴山は姉がどうして死んだのかわからず、その答えを聞くため電話をかけていました。
もちろん、電話はすでに解約されていて繋がるわけもありません。

・近所の人間に姉と見間違えられて驚かれた
髪が伸びて女性のようになった柴山を姉と間違えたとしても、驚いて逃げて行くというのはおかしい。
姉だと思ったのなら挨拶するなり、何も言わずにすれ違って終わるはずですね。

・従姉妹が買ってきたという土産のストラップ
柴山の従姉妹・裕見子はお土産のストラップを三つ買ってきました。
姉がいるのなら、両親と柴山を合わせて4人でお土産がひとつ足りません。
特別に個人に向けて別のお土産を買った可能性はありますが、すでに死亡していて受け取ることができないのなら、買ってこなかった可能性もあります。

・姉の部屋の机に飾られた写真
写真を盗られることが嫌いな人間が机に自分の写真を飾ることは考えにくく、少なくとも現在その部屋には住んでいないことが示唆されています。

『マツリカ・マジョルカ』ネタバレ感想・まとめ

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『マツリカ・マジョルカ』を読んだ感想としては、めちゃくちゃ引き込まれたわけでもないけど読んでて悪くない。
全体的には普通という感じでした。

やはり気になったのは主人公・柴山祐希の…あの変態的妄想。
思春期の高校生らしいと言えばそうなんですけど、毎回過ぎて、またか…と。
エロ描写には割と寛容だと自分で思ってましたが結構気になりました。

そしてマツリカについては今一つ掴みきれなていない感じです。
なんとなく謎多き存在で、彼女の真意とか、結局何をしたいのかまだよくわからないんですよね。
シリーズものなので後の作品で色々わかるんでしょう。

各事件についてはマツリカの推理でポンと終わるので、事実はどうなのか気になるところです。
どうとでも推測できてしまうのでミステリーとしては不完全燃焼でした。

マツリカの推理通りならそれぞれの話の被害者はかなりかわいそうなんですが、具体的にキャラが立ってないので感情移入度は薄めでした。
短編ですし深掘れないのもしょうがないですかね。

あとかわいそうと言えば、怪奇手すり女と恐怖ゴキブリ男。なんだったんだ結局。

柴山の姉のついては柴山の話には出てくるのに実際に姉が話しているシーンなどはわずかで、高校卒業後に家を出たのかな、くらいに考えていました。
個人的には高校の同級生で卒業アルバムの自分の個人写真を切り取ってた人が実際いたのもあって、本当に恥ずかしかったんだなと思ってましたね。

姉死亡説の推理も根拠とした点でやはり他に考えられる可能性があり、なんなら私が思ってた一人暮らし説でも無理やり説明がついちゃう気がします。
事実亡くなっていたわけで、総合的に普通に考えれば姉は死亡している、という推理に異論はないのですが、どうもスッキリしませんでした。

気になった点も多いのですが、現状は可もなく不可もなくという感じです。
ラストも気になる終わり方でしたし続きはそのうち読むつもりでいます。

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