今村昌弘さんの『屍人荘(しじんそう)の殺人』は、2017年の発売以来、あっという間に各賞を総なめにしました。
ジャンルとしてはとりあえず本格ミステリ、クローズドサークルといったところです。
大学生がペンションに合宿に行き、事件が起きる学生探偵モノ。
というのはよくある設定ですよね。
この作品のすごいところは、そういうよくある設定に新たな切り口を加えて、これまでにないストーリー展開を構築している点です。
ご注意:
この記事には出版社のサイトや販売ページに掲載されている書籍情報、簡単なあらすじや登場人物、構成、テーマについての情報を含んでいます。ネタバレ無しですが、これらの情報が読書体験に影響を与える可能性がありますので、完全な初見で作品を楽しみたい方はご注意ください。
『屍人荘の殺人』概要
| タイトル | 屍人荘の殺人 |
| 著者 | 今村昌弘 |
| 出版社 | 東京創元社 創元推理文庫 |
| 発行 | 初版:2017年10月 文庫:2019年9月 |
| ページ数 | 382ページ |
| 推定読書時間 | 4.9時間~7.4時間 |
| シリーズ | 屍人荘の殺人シリーズ |
| 次作 | 魔眼の匣の殺人 – 紹介記事 |
『屍人荘の殺人』は、2017年10月13日初版発行の今村昌弘さんが手掛けたミステリー小説です。
この小説は第27回鮎川哲也賞を受賞し、「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「本格ミステリ・ベスト10」において第1位、さらには第18回本格ミステリ大賞受賞など、デビュー作にして大変話題を集めました。
後にコミカライズ、映画化もされています。
同業の著名な方々からも絶賛とも言える高い評価を得ていて、業界の中でも「事件」と言われるくらいの話題作でした。
屍人荘の殺人シリーズ、剣崎比留子シリーズとしての1作目で、後に『魔眼の匣の殺人』『兇人邸の殺人』と続編も刊行されています。
あらすじ
神紅大学ミステリ愛好会会長であり『名探偵』の明智恭介とその助手、葉村譲は、同じ大学に通うもう一人の名探偵、剣崎比留子と共に曰くつきの映研の夏合宿に参加するため、ペンション紫湛荘を訪れる。初日の夜、彼らは想像だになかった事態に見舞われ荘内に籠城を余儀なくされるが、それは連続殺人の幕開けに過ぎなかった。
東京創元社 公式サイト
たった一時間半で世界は一変した。
数々のミステリランキングで1位に輝いた第27回鮎川哲也賞受賞作!
クローズドサークルと〇〇〇

クローズドサークルというのは、なんらかの理由で外との行き来が難しくなった状況、その空間で起こる事件のことです。
橋が落とされて陸の孤島になってしまった!みたいなやつですね。
『屍人荘の殺人』も、探偵役が合宿先にいってそこで事件が起こって・・・、という王道設定です。
これまで掘りつくされた王道物語の何がそんなにすごいのか。
地形的に隔離されているわけでもない合宿先のペンションがなぜクローズドになったのか。
ここで〇〇〇という、ありそうでなかった要素をぶち込んできて、読者を驚愕させます。
剣崎比留子というやつ
登場人物の一人に剣崎比留子というキャラが出てきますが、こいつが中々に強烈です。
『屍人荘の殺人』から始まる一連の作品は「剣崎比留子シリーズ」とも言われます。
清楚な装いで頭脳明晰なお嬢様。小柄ながらに胸は凶悪。いくつもの難事件を解いてきた名探偵。
まさに「オール・イン・ワン」の超人キャラです。
そんな完璧すぎる彼女ですが、自分の異質さからその内面は複雑で、それに悩む一面があります。
葉村譲に対する一見あざとい言動は、あからさまな戦略とか無邪気な天然さとはまた違うようで、
理屈よりも複雑さで満ち溢れた内面からくる矛盾のようなものを感じます。
ただ可愛らしい名探偵というだけでなく、本当のところ何を考えているかわからない不可解さ。
そういったところがこの人物の多面性を高め、魅力的な存在になっていると思います。
今後の作品でどのような変化を遂げていくのか、注目していきたいですね。
『屍人荘の殺人』の口コミ
Amazonの評価では☆5が5割近く、☆4が3割近くと基本的に高評価が多いようです。
非現実的な要素が物語に新鮮な風を吹き込み、独特の魅力を提供していると評価しています。
伝統的なミステリーに新しい息吹を加えたこの作品の試みを高く評価し、次々と明かされる謎とその解決に引き込まれたという声が多くあります。
また、ミステリーを日常的に読まない人にとっては、この作品は読みやすく、面白いと感じられたようです。
一方で、特に伝統的なミステリーのファンからは、作品内の非現実的な要素が受け入れがたく、本格ミステリーとしての体を成していないとの意見が見られました。
ストーリーの展開やキャラクター造形について「ラノベ感」が強いと感じ、没入感を損ねたという反応もあります。
これまでにない要素が物語に新鮮な味わいを加えている。
初心者でも楽しめる読みやすさと引き込まれる展開が魅力的。
シリーズへの期待感を煽る、続きが気になる終わり方。
伝統的なミステリーに捉われない自由な発想が光る作品。
エンターテインメントとしての面白さと本格的な謎解きが絶妙に融合。
古典的なミステリー好きには合わないかもしれない。
特殊な設定が受け入れられなかった。興ざめした。
キャラクターや文章からラノベ感が強く感じられた。
ストーリーやキャラクターに没入できず魅力を感じなかった。
感想・まとめ
私はほぼ事前情報なしで読み始めたんですけど、事件が発生してからは驚きと同時にそもそもの設定を疑ったりしました。
続きの展開が気になりすぎて、一気に読んでしまいましたね。
これがデビュー作というのがまずすごい。
ハードな内容ではあるんですが、文体のせいなのか読みやすいと思います。
謎解き部分なんですが、私としてはちょうど良いという印象でした。
伏線やヒントが比較的わかりやすく、しっかり考察しながら読む人だったらトリックがわかる人もいると思います。
私はどちらかというと物語自体を楽しむ方なんであんまり考えてませんでしたが、それでも「あーこれヒントっぽいなー」「後々回収されそうだなー」というポイントはありました。
状況としてはかなり特殊な極限状態なんですが、無理なく破綻していないバランスが秀逸です。
<特におすすめしたい方>
伝統的なミステリーに新しい風を求める方。
ジャンルに囚われず多様な読書を楽しむ方。
ユニークなストーリー展開や謎解きを楽しみたい方。
私はタイトルしか知らない状態だったのでとても楽しめましたが、他の人の感想やレビューをみると、〇〇〇を知っていても楽しめた、という意見は多いみたいですね。
興味があれば是非手に取ってみてください。
『屍人荘の殺人』 – ネタバレ解説考察記事

