ネタバレ無し | 小説『此の世の果ての殺人』の見どころ解説

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今回は荒木あかねさんのデビュー作『此の世の果ての殺人』をご紹介します。
この作品は第68回江戸川乱歩賞を受賞し、その選考では満場一致での受賞となりました。

極限状況下での生き生きとしたキャラクターたちの人間ドラマが魅力的に描かれています。

ミステリー好きな方だけでなく、色々な層の方に受けそうな一冊です。
次に読む作品を探している方は、ぜひ『此の世の果ての殺人』を手に取ってみてください。

ご注意:
この記事には出版社のサイトや販売ページに掲載されている書籍情報、簡単なあらすじや登場人物、構成、テーマについての情報を含んでいます。ネタバレ無しですが、これらの情報が読書体験に影響を与える可能性がありますので、完全な初見で作品を楽しみたい方はご注意ください。

作品の概要

タイトル 此の世の果ての殺人
著者 荒木あかね
出版社 講談社
発行 2022年08月
ページ数 368ページ
推定読書時間 5.3時間~7.9時間

『此の世の果ての殺人』は荒木あかねさんのデビュー作で、第68回江戸川乱歩賞を受賞した作品です。
荒木さんは福岡県出身で九州大学文学部を卒業後、中学時代に読んだ有栖川有栖の短編小説「探偵、青の時代」に影響を受けて創作を始めました。

本作は小惑星「テロス」の地球衝突が迫る中で、福岡県太宰府を舞台に展開されます。
江戸川乱歩賞の選考委員からもその本格ミステリーの技法とキャラクター描写が高く評価されています。

『此の世の果ての殺人』のあらすじ

第68回江戸川乱歩賞受賞作。
史上最年少、選考委員満場一致。
「大新人時代」の超本命!

本格ミステリーの骨法もよく心得ている――綾辻行人
特A、もしくはA+、もしくはAA――月村了衛
二人の女性のバディ感が最高に楽しい――柴田よしき
極限状況で生きてゆくひとが、愛しくなる――新井素子
非日常を日常に落とし込む、その手捌きは実に秀逸である――京極夏彦

―滅びゆく世界に残された、彼女の歪んだ正義と私の希望
正義の消えた街で、悪意の暴走が始まったー

小惑星「テロス」が日本に衝突することが発表され、世界は大混乱に陥った。
そんなパニックをよそに、小春は淡々とひとり太宰府で自動車の教習を受け続けている。
小さな夢を叶えるために。年末、ある教習車のトランクを開けると、滅多刺しにされた女性の死体を発見する。
教官で元刑事のイサガワとともに、地球最後の謎解きを始める――。

講談社BOOK倶楽部

『此の世の果ての殺人』が生まれた経緯

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荒木あかねさんが『此の世の果ての殺人』を執筆するきっかけとなったのは、大学卒業間際に自動車の免許を取得しに行った経験からでした。

運動神経が鈍く、教習所通いが辛かった荒木さんは、教官との会話や教習所での体験を小説のネタとして捉えるようになりました。

その中で、教官と生徒がバディとして謎を解く物語を思いつき、さらに小惑星の衝突という設定を加えることで、警察が機能しない世界観を作り上げました。

この作品は、荒木さんがスマートフォンのメモ帳を使いながら執筆を進め、半年ほどで完成させた力作です。

『此の世の果ての殺人』江戸川乱歩賞受賞の理由

『此の世の果ての殺人』は、第68回江戸川乱歩賞を受賞しています。
史上最年少での受賞となり、選考会では満場一致でその才能が認められました。

荒木さんは受賞の知らせを受けた際、その場で飛び跳ねるほどの喜びを感じたそうです。
憧れの先生方からの評価は夢のような出来事であり、作品への愛が一層深まりました。

荒木さんが江戸川乱歩賞に挑戦したのは、新井素子さんが選考委員を努めていたことも理由の一つだったそう。
これまでにもいくつかの新人賞に挑戦してきましたが、今回の受賞でその努力が実を結びました。

『此の世の果ての殺人』の世界観

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『此の世の果ての殺人』は、地球に小惑星が衝突するという終末的な世界を舞台にしています。
この設定は、大好きな作品である新井素子さんの『ひとめあなたに…』から影響を受けたもので、小惑星衝突をテーマにした他の作品も多く読んで研究しました。

その中でも特にベン・H・ウィンタースさんの『地上最後の刑事』は、世界観を緻密に作り上げることの重要性を学び、大きな影響を受けました。

物語の中では、主人公の小春と教官のイサガワが、自動車教習所を舞台に連続殺人事件の謎を追います。
荒木さんはこの設定を通じて、謎の魅力や人物の深みを追求しました。

ハルは消極的な性格でありながら、弟を気にかける優しさを持つキャラクターとして描かれ、対照的にイサガワは強い正義感で物語を引っ張る役割を担っています。

また、物語にはその他協力者のキャラクターも登場し、終末の世界における人々の人間らしさや日常の一面が描かれています。
これにより絶望的な状況でも笑いや希望が見える瞬間が物語に深みを与えています。

荒木さんは設定のディテールを掘り下げることで、新しい展開やプロットを生み出し、物語全体の完成度を高めました。

読者の口コミ『此の世の果ての殺人』の魅力と課題

『此の世の果ての殺人』の総合評価は高く、全体の4分の3程が高評価を与えています。
読者の多くは、設定や登場人物の魅力、テンポの良いストーリー展開を称賛しており、
特に終末世界の設定や福岡を舞台にした点に共感している声が多く見られます。

批判的な意見としては、設定の無理やミステリーとしての深みの欠如、文体の軽さや既存の作品と似ているとの指摘が見受けられます。

独特の設定や魅力的なキャラクターが評価される一方で、ミステリーとしての難易度や新鮮味に関しては賛否両論があります。

設定と登場人物が魅力的で、物語に引き込まれた。
主人公と先生の推理が興味深く、読み進める手が止まらなかった。
福岡在住ということもあり、設定に共感してハマった。
終末世界の設定が好きで、序盤から終盤まで楽しめた。
主人公と相棒の組み合わせが良く、テンポよく進む物語。

主人公の性格が嫌味っぽくて、共感できなかった。
設定に無理があり、物語に引き込まれまれなかった。
犯人がすぐに分かってしまい、ミステリーとして物足りなかった。
深みがなくて物語に没入できなかった。
設定やストーリーが既存の作品と似ていて、新鮮味がなかった。

小説『此の世の果ての殺人』感想レビュー

映画などでもよく見かける終末的な設定は好きなので、今回の『此の世の果ての殺人』もどんな切り口で展開されるのかとても楽しみにしていました。

確かに、人類が全滅するかもしれない状況でなぜ殺人が起きるのかという疑問は湧くものの、そうした極限状態だからこそ生まれる狂気や欲望がどう描かれているのは気になっていました。
動機自体はまぁ・・という感じでしたが、現実だったらこういった機会に乗じて行動を起こす人はいるかもしれませんね。

物語は女性バディの視点から進行しますが、この組み合わせは個人的にあまり読んだことがなかったので新鮮でした。
主人公たちの掛け合いも魅力的で、読み進めるうちに彼女たちに親しみも感じられます。

舞台が福岡ということで、土地勘がある方には特に入り込みやすいのではないでしょうか。
具体的な地名も出てくるので、まるでその場にいるかのような感覚が味わえるかも。

ミステリーとしての展開は、ある程度ミステリー作品に慣れている読者であれば予想がつく部分もあるかもしれません。
ただ中々憎めないキャラも多く、物語としては終盤にかけてのサスペンスはハラハラしますし、謎解きだけではない魅力もあると思います。

<特におすすめしたい方>
終末的な設定が好きな方
福岡に土地勘がある方
女性バディものが好きな方

個人的には絶賛とまではいかないものの、十分に楽しめる一冊でした。
物語の終わり方も感慨深く、読み終わった後にじわじわと余韻が残る感じが良かったです。

荒木あかねさんの作品は今作が初めてでしたが、機会があればぜひ他の作品も読んでみたいと思います。

『此の世の果ての殺人』 – ネタバレ解説考察記事

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